身体の大きな夫は リハビリで自分の身体を支えられず
立ち上がることもままなりませんでした。
病院でのベット移譲の介助は4人掛かりでしたから
介助する方たちも大変でした。
病院での生活にも慣れてきて スタッフさんとのやり取りが楽しめるように
なってきたあたりから リハビリにも励むようになりました。
病院の食事で少しずつ体重も落ち始め 夫にとっては動きやすく
なったんじゃないでしょうか。
朝晩の着替えや洗面・歯磨きといったことも
これまでとは違い、利き手は使えず片手だけの動作となるわけですから
始めはひとつひとつのことが大変でした。
でも、人間の身体はすごいですね。
今ある状況に順応していくわけですから
こちらから見ていても驚くことがあります。
夫は右利き。右半身が全廃なわけですから 全く動きません。
だらんとした右腕が、まったく感覚のない方だと
ベットから起き上がるようなときに右腕が置き去りになってしまうそうです。
動かないからないものとして行動してしまうようですが
夫は、右腕を左手で寄せて起きるとか気が配れるようで
段々ひとりでも身体を動かすことが上手くなっていきました。
病院にいる4か月は、不自由になった身体を受け入れることと
何もできなくなった自分との感情が大きく揺れ動くことがあります。
それは、本人はもちろん配偶者や家族にも多く影響すると思います。
夫はベットの上で泣くこともありましたが
日中はとても元気で 病院スタッフさんとも打ち解けて仲良くなって
いましたので、みんなに声をかけてもうような楽しく過ごせていました。
中には、気持ちがとてもふさぎ込んで奥様にも負担がかかっているような
方も見かけました。
同じ病気でご縁した病室の方、中でも奥様がずっと付き添っている方とかに
お話したり聞く機会もありました。
主人はどちらからいうと、入院中も会いに来てくれる人は歓迎していたので
あまりに突然のことで 今ことばも発せず不自由な身体であっても
目の前にいる人との再会は、大泣きになることはあっても本人は嬉しいものでした。
しかしそんな人ばかりではないんです。
今までバリバリ仕事をしてきた男性にとっては、身体は動かない話もできない
状況は 受け入れに時間もかかり まして人に会うことはできないのでした。
自分の惨めな姿は人に見せたくないという気持ちが働くからだと思います。
そんなご主人の気持ちをかみ締めて心痛める奥様もいらっしゃるのでした。
リハビリにも取り組み、少しずつではありますができることも増えていくことは
ほんとに嬉しいものです。
動作が不自由な分、助けてくれる道具や器具・装具などに助けられ
日常の生活が戻るように少しずつ前進しているのです。
食事の時は左手で食べれるようにスプーンで練習したり
お箸のトング(箸ぞうくん)を使い始めました。
利き手じゃなくても箸が簡単に持てるようになっていて
ひとりで食事ができるようになります。
家族も本人も時間とともに すべてを受け入れ癒えていきます。
あせらず日々の生活に慣れていきましょう。